ミニトマト栽培の基本・株の状態をチェック~肥料過多・不足とは?~

プランターの植物の状態をチェックしている女の人 家庭菜園
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この記事では「株の適正な状態、肥料過多・肥料不足の場合の症状と対策」をご紹介しています。
「樹勢」は、これから付く実の数やクオリティに影響します。「トマトの茎は太くて頑丈で、葉は緑が濃くてよく茂っていればたくさん実がなるだろう」と思っていませんか?

実はトマトの株の「適正な状態」というのは、思っているほど元気いっぱいでしっかりした感じではないかもしれませんよ。

まずは株の適正な状態を知りましょう。
株の状態の良し悪しもわからずにお世話していては、的外れなことをやっているかもしれません。特に栽培初心者の方は必見👶
同じやるなら、「適正な樹勢を保ち、良い収穫につながるためのお世話」を目指しましょう。

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適正な栄養状態の株の特徴

パンダが両手を頭上で合わせ大きな〇(OK)を作っているイラスト

ミニトマトは成長中に肥料を良く消費するので、大玉トマトに比べると肥料過多にはなりにくいようです。

  • トマトの葉は黄緑~緑色で、平らか葉の縁がほんの少し内側に起きて(巻いて)いる状態が良い
  • 主枝から伸びる枝葉全体の様子は、お皿を伏せたような感じ。先端少ししなりがあり、下がった状態
  • 茎は10~12mm程度で鉛筆より一回り太い位
  • 株全体としてはわりと葉の隙間があり、向こうが結構見えるくらい

適正な状態の茎は思ったより細く、株の全体像もちょっと貧相に感じた方もおられるのでは?
でもそのくらいの株が、おいしくてたくさんの実が付きやすい状態なのです。

実はトマトの株の「適正な状態」というのは、思っているほど元気いっぱいな感じではないかもしれません。
この記事では「株の適正な状態、肥料過多・肥料不足の場合の症状と対策」をご紹介しています。まずは株の適正な状態を知りましょう。特に栽培初心者の方は必見👶

茎が太くてしっかりしていたり葉の茂りが良いと、「丈夫に育っていて安心」という気持ちになりやすいのですが、実は肥料過多となっているかもしれないので、よく確認し判断してください。

株全体の樹勢の見方と対処法

たくさんの植物の状態を丁寧にチェックしている男の人

まずは株全体の印象をチェックしましょう。上記の適正な状態と比べてどうなのか。

弱々しく感じるのでしたら、肥料不足のサインが現れていないかチェックし、当てはまれば肥料の投与を検討しましょう。

樹勢が強く肥料過多のサインが現れているようでしたら、*肥料過多と*窒素過多の対処法・各成分のサインと対処法を合わせてチェックし、総合的に判断してどのような対処をするか決めましょう。

肥料の過不足による【症状】

不足による症状

  • 葉が小さく、上に向かって立つ感じで反っている
  • 途中から茎が急に細くなる(普通は先の方に向かってだんだん細くなっていく)
  • 株の生長点から15㎝あたりまでの節と節の距離が長くなり、葉が少ない
  • 葉先の色が変色(黄色や茶色)
  • 葉と葉の間が広い

過多による症状

  • 葉の色が濃い緑になる
  • 葉に凹凸が現れ、裏側へ丸まってくる
  • 茎が太くなる(主枝の先の方も。また、茎が縦に割れることも。)
  • 葉がかなり大きく、茂っている
  • 節間(主枝から葉が出る根本部分の間隔)が短くなる
  • 葉の付いた枝が下に下がる。(下の方だと地面に着くほどになることがあり、病気にかかる原因となるかもしれないので、切り落としてしまってもいいようです)
  • 上に伸びない、花・実が付かない

肥料過多になってしまった部分の葉や茎の様子は、その後適正な栄養状態に戻ったとしても変わりません。栄養状態は、その都度株の上から1/2~1/3の様子を観察して判断しましょう。

肥料過多の大半は茎や葉の育ちすぎとして現れ、その原因成分は窒素であることが多いです。
「適正な状態」を知らなかった最初の頃は、ちょうどいい状態なのに株が細く頼りない感じに見えていて、大丈夫なのかと心配になっていました。また、

肥料の過不足への【対処法】

不足の場合の対処法

  • 株自体に元気がない場合は、肥料成分のバランスが取れているものを与えましょう。即効性があるタイプが向いています。肥料過多にならないよう、少しずつ様子を見ながらやるようにしましょう。
  • 後ほど表にして示しますが、特定の成分不足による症状が出ている場合には、その成分を補うようにします。こちらも効きが早めのものが向いているでしょう。

*過多の場合の対処法

  • 可能なら撒いた肥料を取り出す(固形物の追肥をした場合のみ可能?)
  • そのままにしておき、肥料が消費されて樹勢が落ち着くのを待つ
  • 水に関しては2つ方法があります。
    ・水やりを多くし、土の肥料成分を流す
    ・水やりをできるだけせず、根からの肥料の吸収を抑える
    どちらにしてもやってみないと効果はわかりません。(しかしいろいろなサイトを見たところ、実際にやってみて結果が良かったのは「水やりを抑える方法」だったという記事多し。⦅⇒ 特に地植えの場合⦆ プランターであれば、水で肥料分を流す方法も地植えよりは効きやすいよう。)
    ただしどちらの方法でも枯れてしまうリスクは上がります。水やりを控えた場合は、次の水やりで実割れする可能性も。
  • わき芽を取らずに養分を使わせる
  • 肥料を吸収させる目的で、同じ畝に植物を植える(小松菜など)

肥料の各成分によるサインと合わせて検討し、対処法を決めましょう。

過去の経験から

そういえば栽培を始めて間もない頃、一度私も軽く裂け目が入る勢いのすごく太い茎となったことがあります。(追肥前の時期だったと思うので、元肥の量が原因と思われる)しかし、土づくりをしなかった年以外に、実の数が少なかったり固く小さい実となった年はないので、その年もちゃんと収穫はできていたはず。
樹勢の強い状態がつるボケ(茎や葉ばがりが成長し、実付きが悪くなること)につながることもまだ知らなかった頃で、ほったらかしで何の対処もしなかったのに、なぜ収穫がうまくいったのか?
思い当たるのが、「育て方」です。地植えでいっさい水やりをしない育て方をしていて、それが上記の「水やりを抑える方法」と図らずも合致し、対策をとった形になったようです。

ということで、「水やりを抑える方法」は効果が期待できるということが実証済みとなりました。畑栽培をされている方には、自信をもってこの方法をおすすめいたします。
プランター栽培だと土の少なさから水分調節が難しいので、やる場合には枯れてしまわないよう、くれぐれも注意して行ってくださいね。

各成分に対する症状と対処法

木のブロックで作られたチェックマーク

肥料の各成分の過不足による【症状】

次に肥料の各成分ごとに、過不足による現象の主なものをまとめました。
先に出てきた「株全体の樹勢の見方」の「肥料過多の症状」と合わせてチェックし、対処法を検討しましょう。

過多不足
窒素・植え付けてしばらくのうちは窒素過多
が起こりやすいようだが、水やりを続
けていると落ち着いてくることも多い。
・「過多による症状」で示した樹勢が強
サインが現れかなりわかりやすい。
肥料過多の多くはこのタイプといえる。
・株の下の方の葉の色から薄くなる。
・あまり起こることはなく、症状がやや
わかりづらくもあるよう。
リン酸・実に効く成分なので、元肥として少し
多めに配合したりするが、多すぎると
亜鉛や鉄・マグネシウムの吸収を妨げて
しまい、葉が少し枯れる。
・症状はなかなか出にくいよう。
・新しく出る芽が小さすぎる。
・花数が減り、開花・結実が悪くなる
・成長が止まったような感じになる。(あ
まり起こることではない)
・次第に実の品質が低下
カリウム・トマトはカリウムをかなり必要とする
ため、過多はほとんど起こらない。
(どちらかというと成長していくにつれ、
カリウム不足の方が起きやすい)
・葉の先が枯れたり、葉が黄色くなる。
(実の近くや下の方の葉に出やすい)
・実の上の方に色がつかなくなったりす
る。
カルシウム 葉の周りが枯れる(症状としては出に
くく、カルシウムは常に消費されてい
くので、過多になることはほぼない)
・尻腐れ病(実の下の方が茶・黒に変化)
・上部の葉の先が枯れる(カリウム不足
に似た症状だが、出る葉の位置が異なる)

特定の成分の不足による症状が見られる場合は、その成分を補います。即効性があるタイプの方が向いています。

*肥料(窒素)過多への【対処法】

窒素・可能ならば肥料を取り除く
・窒素成分が消費されるのを待つ
・水やりのコントロールをする(詳細は上記参照)
・わき芽を伸ばしたり、畝に小松菜などを植えて窒素成分を使わせる
・畝に苦土石灰を撒く
・カリウム・リン酸を投与してバランスを取り、窒素吸収を抑制する
リン酸過多はかなり起こりにくい
カリウム過多はかなり起こりにくい(不足の方が起こりやすい)
カルシウム 過多はかなり起こりにくい(不足の方が起こりやすい)

「ミニトマト栽培 株のチェックポイント」のまとめ

  • 適正な株の状態を知ろう
    ・超重要!これを基準に世話の内容が決まります
    ・元気が良すぎる株は、適正な状態でない可能性あり ⇒ 実の付きが悪くなるかも
  • 肥料不足・肥料過多のサイン
    ・株全体を見て、バランスの取れた肥料を与えたほうがいいのか、個別の成分を与えた方がいいのかを判断
    ・早めの対処が良い収穫につながります
  • 対処後の日々の観察もお忘れなく

今回の記事は、株全体の様子から見る肥料の過不足についてお伝えしました。
株の元気がなく実が付く前の時期に肥料を与えた場合、植え付け後に追加する肥料という意味では、「追肥」と言えます。が、一般的に言う「追肥」とは、実が付いてしばらくしてから行う、実を充実させる目的で肥料を与えることを指します。次回はこの追肥についてご紹介します。

とはいえ、実のための追肥もまず「樹勢の見極め」から始まります。今回ご紹介した内容を踏まえて株の状態を把握しつつ、適切な追肥をしていきましょう。