ミニトマトが現在適正な状態の株であれば、そのうち肥料切れとなり実付きが悪くなっていきます。長く収穫を続けていくためには、追肥が必要です。この記事をお読みいただくと、基本的な追肥の方法(畑とプランターで違いあり)がわかります。
また、一般的に「有機肥料は追肥向きではない」と言われますが、十数年私が追肥にも有機肥料を使い続けてきた結果から思うこともご紹介しています。
やみくもに肥料を与えることは避けましょう。ミニトマトは元気が良すぎると実付きが悪くなる傾向にありますので、常に株の状態を観察するようにしてくださいね。
追肥、その前に
ミニトマトは実の充実と株の成長が同時に進んでいき、追肥はこれを継続していくために必要なお世話です。基本的な追肥の方法をご紹介していますが、このとおりにやれるのは「適正な状態の株」に対してです。
まずは株の樹勢を確認しましょう。
樹勢が強い場合の追肥はかえって悪影響を及ぼすことになりますので、見合わせます。樹勢が落ち着いてからやるか、場合によっては最後までしなくてもいいこともあります。
樹勢の見方についてはこの記事で紹介しています。ミニトマトを育てていく上で最も重要なことなので、ぜひ知っておいてください。適切なお世話ができるようになり、充実した収穫につながります。
追肥のタイミング
- 地植えの場合
・最初は「3~4番花が咲く頃」が目安
(株に元気がないようなら2番花の咲いたタイミングで追肥し、樹勢が強いようであれば4番花が咲く頃に検討)
・3番花を基準に一回目の追肥をし、一段とばしで花が咲いたあたり(5番花、7番花…)で次の追肥を行っていきます。(または1回目の追肥から2~3週間ごと) - プランター・鉢の場合
・最初は「第一果房の実が膨らみ始めた頃」が目安
・地植えよりも土が少なく肥料切れが早いため、次の追肥は1~2週間後、早めのタイミングで行います。
他にも「実が色づく前」であったり、地植えでも「第一果房が膨らみ始めた頃」など、様々な追肥のタイミングが紹介されています。とりあえず良いと思うものを試してみて、自分の好みのタイミングを見つけていきましょう。
大切なのは、毎回樹勢を確認した上で行うことです。「株に元気がない場合は早めに追肥する、樹勢が強い場合は行わない」など、追肥のコントロールで株を適正に保ちましょう。
樹勢が強くつるボケすると、1~2段目の実の付きは良くても、それ以降の実の付きが悪くなってしまいます。
追肥をしよう
注意点がいくつかあります。
肥料の種類
一般的には効きが早いタイプが向いていると言われています。
基本的なNPKの割合は、1:1:1。(リン酸を少し多くしても良いかも)
次からの追肥も基本的には同じ量です。ただし樹勢によって加減することをお忘れなく。
雨が多いと肥料の吸収が良くなるので、そういう時期の追肥は控えめにしましょう。
*十数年ミニトマトを育ててきた経験から、追肥について思うことを最後にご紹介しています。
追肥の量
固形肥料であれば、一般的には1㎡あたり20~50gなどと言われますが、肥料により成分の含有量が違いますので、パッケージの表記を参照のこと。有機肥料だと量が多くなる傾向にあります。
施す場所
固形肥料は根を傷めないよう、次のような株元から離れた位置に施します。(数ヶ所に分けるとより良いかも)
・株元から20㎝程離れた畝や溝(畝と通路との境目あたり)
・ミニトマトから広がる葉の先端当たりの位置
畝や溝に施しますので、マルチを張っている場合、マルチをめくるか穴を空けないといけません。「ミニトマトの植え付け」記事のマルチ張りの項目で、「マルチを張るデメリットとして、追肥の時にひと手間増える」と書いていた“ひと手間”がこれです。
私は溝に埋めるので端をめくるのですが、深めに埋まり土が乾燥して固い時はちょっと手間取ることがあったりします。
施し方
・固形の肥料であれば穴を掘って埋めたり、肥料を撒いた上から土をかけて混ぜ込んでおく
・液肥なら水やりの代わりとして施す
固形肥料は撒いただけでは養分として使われません。根が吸収できるよう、水やりが必要です。
液肥を施した後に水やりは必要なし! せっかくの肥料成分が土から押し流されてしまいます。
プランター・鉢の場合
「追肥のタイミング」の説明のように、地植えよりも最初の追肥の時期が早く、間隔は短くなります。
地植えと同じく、まずは樹勢を確認。
量や間隔についてはパッケージの説明を基本とし、樹勢に合わせて加減を。
そして地植えより土の量が少なく保水性が低いことを考えると、プランター栽培には固形よりも液肥の方が向いているのかもしれません。(もちろん地植えにも使えます) 液肥はかなり薄めて使用するものが多いので、説明を良く読んで倍率を間違えないようにしましょう。
また、液肥には「即効性がある・液体のため土に成分がとどまりにくい」という特徴があります。成分が流れやすいため固形に比べると施す頻度は多くなりますが、施肥量が多すぎた場合でも肥料過多になりにくいです。
「有機肥料を使った追肥」を十数年続けてきて思うこと
その年その年で使った肥料は違いますし混ぜることも多いので、どれがどう効果があったかということまではわからないのですが、有機肥料を追肥として使っても、肥料切れやうまく育っていないなと感じたことは今までありません。即効性のある化成肥料に変える必要性を特に感じたことがないため、これまでずっと使い続けてきたわけです。即効性のある肥料だとさらに良い結果になるのかもしれませんが、今まで満足いく収穫ができている私の実感からすると、追肥に有機肥料が向かないということはない気がしています。
それに加え、個人的な感覚ではありますが、うちで育てたミニトマトは、どうも市販のトマトより長持ちする印象……。これは有機素材のものを使って育てた影響もあるのかもしれません。こちらで詳しく紹介しています。
有機肥料でも発酵鶏糞は化成肥料並みに即効性があるそうで、追肥にも使えると言われています。バットグアノは緩効性ですがパッケージには「追肥にも」と書かれていたので、私はずっと追肥としても使ってきました。
「一般的な育て方」というものはあっても、何をどう使うかは好みでいいのだと思います。せっかく自分のやりたいようにできるのですから、好きなようにいろいろ試してみましょう。
有機肥料は単独ではNPKの割合が一定ではなく、例えば「油かすは窒素の割合がかなり高いから、追肥には使いづらいかなぁ」とか、どれを組み合わせれば好みの比率になるのかを考えるのもなかなか難しいけれど、それも楽しさのひとつのような気がします。
ちなみに8月終わりあたりになると収量は落ちるものの、地植えだと追肥をやめてほっといても11月くらいまで細々と収穫できました。ちゃんと追肥や世話を続けていくと、もっと充実した収穫が見込めるのかもしれません。
昨年の様子をこちらで紹介しています。
「ミニトマトの育て方・日々のお世話編~追肥の方法~」のまとめ
- 追肥の前に
樹勢を確認 - 追肥の方法
・基本のNPK割合は1:1:1
・地植えとプランターでは最初の追肥の時期も間隔も違う
・固形肥料は根から離して施す
・液肥は水やりの代わりに - プランター・鉢の場合
固形タイプより液肥の方が向くのかも - 有機肥料を使ってきて思うこと
「有機肥料は追肥向きではない」と言われることがあるが、実際に使ってみた印象は「なかなか良い」。むしろ収穫後の日持ち期間は長いかも??
すでに実が付き、大きくなり始めた頃かと思います。
ここ数回の記事でご紹介した日々のお世話を続けていると、そのうち実が色づきやがて収穫の時期がやってきます。
ちなみに昨日母が勝手に誘引しており、そのせいで第一果房の付いた枝が折れているのを今朝私が発見。主枝でない部分が折れたのは初めてで、応急処置はしたものの、細すぎて復活するかは微妙なところです……。実が付いたから、このまま復活しなくてもつるボケにはならないのかな~? そうであることを祈る……。
次の記事では有機肥料のそれぞれの特徴をご紹介しています。表にしていますので、NPKの割合の傾向がわかるとともに施肥の組み合わせが比較的考えやすいかもしれません。
肥料成分の過不足に対する症状が出た場合の対処にも、役に立つことがあると思います。