ミニトマトの育て方・肥料あれこれ~有機肥料の成分比など~

白い背景に赤いミニトマトが一粒 家庭菜園
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作物には、それぞれが必要とする肥料成分の傾向があります。
有機肥料は動植物由来の素材が原料なのでNPKのバランスが整っていない商品が多く、好みの成分比率にするには複数の肥料を使うことになります。が、化成肥料のように単成分の肥料がほとんどないこともあり、組み合わせを考えるのはなかなか難しい
組み合わせを考える時にネットで素材の特徴を確認するのですが、文章の列記のみで記されており、いまひとつ把握しづらい気がしていました。
それで、良く使われる有機肥料を表にしてみました。それぞれのNPKの成分比率の傾向がわかるとともに、組み合わせが少し考えやすくなると思います。

有機肥料は追肥向きではないと言われますが、中には使える特徴を持ったものもあります。化成肥料をプラスすると組み合わせも楽になりますし、選択肢がさらに広がりますよ。

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各有機肥料の成分比と特徴

4つの項目からなるドーナツグラフ

肥料の3大成分はN(窒素)・P(リン酸)・K(カリウム)です。ミニトマトの施肥(元肥・追肥ともに)は基本的にこの割合が1:1:1のものを使います。
有機肥料は例えば「鶏糞」のように単体の素材で作られた商品が多く、自然のものなので同じ素材であっても商品によって成分比がまちまちです。その都度いくつか肥料を組み合わせて、希望の成分比にして使うことになります。

素材が同じであれば成分比に一定の傾向はありますので、下の表は各素材の傾向を知るためのものとしてご覧ください。
正確な成分比は、お使いになる商品のパッケージを参照ください。

各有機肥料の成分比と特徴〈その1〉
成分比
(市販の商品から抜粋)
C/N比(炭素比)
その他の成分  
主成分 特徴 注意点 効き方
N P K C/N比詳細は表下に
発酵(完熟)鶏糞
3~4 5~6 2~3 ・NPK含む
・リン酸多め
・Caも多く含む
・リン酸の割合が高い
⇒実の付きが良くなる
・カルシウムを多く含む
⇒トマトの尻腐れ病を防ぐ
カルシウム(石灰)を多く含むため
・元肥として使う場合は土壌調整
用に入れる石灰の量に注意
・石灰過多になると土が固くなる
ので、使い続けず数年に一回は牛
糞肥料等を使うと良い
即効性
(化成肥料並み)
⇒発酵済みなら
追肥としても
2.7 7.3 4.110.5
5.1 3.9 3.16
2.8 3.4 2.38
4.1 5 36.3
発酵牛糞
(多くは堆肥)
1.5 1.65 2.219 ・NPK含む
・カリウム多め
・リン酸多め
・おがくず等を混ぜた堆肥とし
て作られている商品がほとんど
⇒肥料成分は低め
・有機肥料の中ではバランスが
良い傾向のものあり
即効性
(化成肥料並み)
⇒発酵済みなら
追肥としても
2.3 1.6 1.818.4
1.8 2.5 2.426
0.6 0.4 0.617
1 1 1
油かす 5~7 1~2 1~2C/N比記載なし ほぼ窒素 ・窒素主体
・リン酸、カリウムの含有量は
わずか
緩効性
5.3 2 1
5.5 2 1
5.3 2.3 1
5 2 1
骨粉 4 17~20 0C/N比記載なし ほぼリン酸 カリウムゼロ 緩効性
2 24 0
4 16 0
2 20 0
4 20 0
各有機肥料の成分比と特徴〈その2〉
成分比
(市販の商品から抜粋)
C/N比(炭素比)
その他の成分  
主成分 特徴 注意点 効き方
N P K C/N比詳細は表下に
魚粉 7~8 5~6 2~3C/N比記載なし ・ほぼ窒素とリン酸
・微量要素含む
・微量要素を含む
⇒作物の味が良くなる
即効性
(有機の中では)
5 3 0.56
6 6 0
7 6 0
7 7 0
バットグアノ 0.5~2 10~30 0C/N比記載なし ・ほぼリン酸
・微量要素含む
・微量要素を含む
⇒作物の味が良くなる
・カルシウムを多く含む
⇒トマトの尻腐れ病を防ぐ
Caを多く含む
⇒上記の鶏糞の注意点参照
【リン酸の使い方】
思い込みはないですか?
詳細は下の記事参照
緩効性
0 20 0Ca 25
0 25.3 0Ca 34.5
0<27.6 27.6 0.21Ca 37.16
0.07 24.1 0.19Ca 40.47
草木灰
(材料により成分
比率が変わる)
0 3~4 7~8C/N比記載なし ・アルカリ性
・カリウム多め
(リン酸が多いものも)
・カルシウム含む
・窒素ほぼなし
カリウム補給
土の酸性度調整
即効性
0 19 14Mg 10
Ca 2
0 10 10Mg 4
0.26 0.76 3.43
0.4 11.3 3.9Mg 3.8
Ca 8.0
有機石灰 0.2 0.1 0C/N比記載なし ・アルカリ性
・ほぼカルシウム分
・微量要素含む
・3大成分はほぼ含まず
土の酸性度調整(元肥)
カルシウム補給
緩効性
0.1 0.09 0.01Mg 0.1
Ca 38.7
0.25 0.21 0.16Mg 0.64
Ca 93.3
0.28 0.23 0.17Mg 0.65
Ca 89.3
0 0.21 00

【C/N比(炭素比)】
有機素材の肥料や堆肥には、肥料成分と土壌改良成分の両方が含まれることがあり、その品物の肥料効果の度合いはC(炭素)/N(窒素)比でわかります。
Nは肥料成分なので、「Nの割合が大きい=C/N比が小さい」ものは肥料効果型。逆にC/N比が高いものは土壌改良型という見方をします。

早めに肥料効果を出したい時・・・C/N比10以下が目安
土壌改良と肥料効果を同時に求める場合・・・10~20
土づくりをゆっくり進める場合・・・20~30以上    が目安となります

また、有機肥料は緩効性のものが多いので元肥向きであり、追肥向きではないと言われます。しかし中には化成肥料並みの即効性を持つものもあり、そういったものは追肥としても良さそうです。

主成分による有機肥料の分類

色別に分けられ青~緑系のグラデーションで並んだ石鹸

有機肥料で施肥したい主成分が決まっている場合は、こちらを見ていただいた方が探しやすいです。特徴の詳細は上の表をご参照ください。

主成分(NPK)による有機肥料の分類
成分 素材 成分の特徴 即効性
NPKを含む 牛糞堆肥 肥料成分は低め
有機肥料の中ではNPKが1:1:1に近め
カリウム多め
発酵鶏糞
窒素を多く含むもの 油かす
魚粉 リン酸も同程度の比率
微量要素含む
リン酸を多く含むもの 発酵鶏糞
魚粉 窒素も同等~やや多めの比率
微量要素含む
骨粉 カリウムゼロ
バットグアノ ほぼリン酸のみ
微量要素含む
カリウムを多く含むもの 草木灰窒素ゼロ
リン酸・石灰分含む
牛糞堆肥 肥料成分は低め
【番外編】
カルシウムを多く含むもの
有機石灰NPKほぼ含まず(主に土壌調整用)
発酵鶏糞
バットグアノ

単一成分のものは有機肥料ではほぼないため、化成肥料から探す方が簡単です。

有機肥料あれこれ

価格

有機肥料は化成肥料と比べると、全体的に安価なものが多いのもうれしいところです。この量でこの値段?! とびっくりするくらいものがあったりします。
しかし使いきれるかわからないくらい大量だったり、車でないと運べない重さだったりすることもあるので、残念だけど割高でも小さめを選ぶ方が良い場合もあります。

微量要素について

肥料に含まれていることがある「微量要素」とは、鉄・マンガン・ケイ酸、ホウ素・モリブデン・亜鉛・銅・塩素 等のNPK以外の成分です。

有機肥料には微量要素が含まれているものも多く、それらが作物の味を良くすると言われます。

有機素材で育てたミニトマトは日持ちする???

有機肥料は作物の味を良くするかもしれませんが、もしかしたら収穫後の日持ちも長くしてくれているかもしれません。
10数年、ほぼ有機素材のみでミニトマトを育てていますが、「うちのトマトは長持ちするなぁ」と感じていて、無農薬で育てることか有機素材で育てることか、どちらかのおかげではないかという気がしています。有機素材のおかげであれば腑に落ちる理由があり、詳細はこちらでご紹介しています。

トマトの施肥は基本的にNPKの成分比が1:1:1のものを使います。店頭ではもちろん、ネット上で探しても有機質100%でそういう商品を見つけるのはかなり難しかったので、お探しの方の参考になればとこの記事でいくつかご紹介しています。

「有機質100%」の商品はパケ買いで

肥料でも堆肥でも、有機質100%でNPKの成分比が○:○:○と同じ割合になっているものは、まずなかなかないと思っていてください。
そして、有機質100%の商品を探す時は、「パッケージおもてに有機100%の文字があるか」を見るだけでいいです。有機質100%のものであればまず、大々的に表示してあります。(それほど少ないので、作る側もそこを「売り」にしています)
おもてに書かれてない商品は「有機配合」「有機肥料入り」の商品で、割合はともかく、化成肥料との混合商品と思ってほぼ間違いありません。(相当の商品を見漁りましたが、有機質100%の商品で、裏の小さな成分表だけに記載しているものはなかったです)
なので店頭で裏の成分表示を見たり、ネットでパッケージ裏の画像をわざわざクリックしてチェックする必要は全くありません。パケ買いでOKですよ。

知っておくべき施肥のタイミング

年間カレンダーの部分的なアップ

【重要】リン酸の与え方

「リン酸は実を充実させるために施す=実が膨らみ始めてから追肥で多めに与える」と思っていませんか?
実は作物がリン酸を必要とするのは実が付いてからではありません。定植時から吸収させて株に蓄えられることにより、それからの生育(=実の付き)が良くなるので、リン酸は生育初期にこそ効かせる必要があるのです。そのため基本的に元肥として十分な量を入れて使うことが重要です。
私はリン酸を追肥で多めに与えるものだと思い込んでいたので、これを知った時は驚きでした。
元肥のリン酸をあまり重要視していなかったのでしたら、しっかり施して育てるともっと良い結果となるかもしれません。

カリウム不足に気をつけて

トマトはカリウムをたくさん消費します。元肥のNPKを1:1:1で施している場合、栽培の途中に高確率でカリウム切れが起こるそうです。ちょうど収穫の最盛期に入り始めるあたりかと思いますので、実だけでなく株の状態も良く観察し、何か症状が出ていないかチェックしましょう。

株の状態の見方や、肥料不足によるサインについてはこちらでご紹介しています。

「ミニトマトの育て方・肥料あれこれ」のまとめ

  • 各有機肥料の特徴
    素材によるNPKの比率の傾向がわかると、好みの比率に組み合わせることもできます
    C/N比(炭素比)の意味がわかると適切な肥料の使い方ができます
  • 主成分による有機肥料の分類
    施したい成分が決まっているならこちらの表が探しやすいです
  • 有機肥料あれこれ
    ・価格
     有機肥料は比較的安いものが多い
    ・微量要素について
     有機肥料には微量要素を含むものが多く、作物の味を良くすると言われている
    ~有機質100%の商品を素早く見分ける方法~
  • 知っておくべき施肥のタイミング
    ・【重要】リン酸の与え方
    リン酸は実肥えの目的で使いますが、与えるのは実が膨らみ始めた追肥の時期ではなく、元肥として育成初期に効かせることが重要。
    ・カリウム不足に気をつけて
    ミニトマトはカリウムを多く消費する。栽培途中に高確率でカリウム切れとなりやすいため、追肥での補給を検討。

次回の記事は、収穫と摘芯についてを予定しています。「実が色づいたらすぐに収穫!」でも良いのですが、私の感じる「今だ!」という時期がありますので、そのあたりをご紹介します。